農業

有機野菜とは?無農薬野菜やオーガニック野菜との違いも解説

健康意識の高まりを受けて、少しずつ注目されてきているのが有機野菜です。しかし、有機野菜の基準や定義を正しく答えられる方は少ないのではないでしょうか。ここでは有機野菜の定義や見分け方、類似する「オーガニック野菜」や「無農薬野菜」との違いをご紹介します。

有機野菜とは?

有機野菜とは、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕など植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことです。有機野菜の認定には農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たす必要があります。有機JAS規格では、特定の化学肥料や農薬の使用が禁止されているのが特徴で、遺伝子組み換え野菜ではないことも有機JAS規格の条件に含まれます。この有機JAS規格の条件を満たすことで「有機野菜」として認定され、パッケージにはそれを証明する「有機JASマーク」を表示できるのです。

有機野菜イコール完全無農薬ではない

有機野菜の栽培には、化学肥料や農薬の使用が制限されています。したがって、有機野菜イコール完全無農薬というわけではありません。JASが認定している31種類の農薬は、栽培に使用しても問題ないと規定されています。また、有機野菜の捉え方や方針は農家によっても異なっている現状があります。JASの規格を満たし、なおかつ農薬も完全無使用の野菜を「有機野菜」として捉えている農家もあります。

通常栽培の野菜との違い

有機JAS規格によって定義が決められている有機野菜に対し、通常栽培の野菜には特に定義や規定がありません。さまざまな農薬や肥料を使って育てられているもので、一般に流通している野菜だと覚えておくと良いでしょう。ちなみに、有機野菜と通常栽培の野菜の見分け方は、有機JASマークの有無です。有機野菜であれば、パッケージに有機JASマークが表示されています。

日本で有機野菜が浸透しにくい理由

えぐみの少なさや栄養価の高さが魅力の有機野菜ですが、アメリカやヨーロッパに比べると、日本国内における有機野菜の浸透率はけして高くありません。これには、生産効率や農協による厳しい規定が関わっています。有機野菜は通常栽培の野菜と比べると育てるのに時間がかかり、生産効率が良くありません。生産効率が落ちると野菜の供給不足に陥ってしまうため、有機野菜の栽培がなかなか浸透しないのです。

また、農協の規格の厳しさも有機野菜の浸透率に影響を与えています。有機野菜は、通常栽培の野菜と比べると形にバラつきがあったり、色づきにムラがあったりすることがほとんど。対する農協の規定では、凸凹していたり曲がっていたりする野菜は農協へ預けられません。その結果、廃棄されたり通常よりもはるかに少ない量で細々と消費されたりします。規格に合わない有機野菜を作るよりは、規格に合わせやすい通常栽培の野菜を作るほうが合理的なのが現状です。

オーガニック野菜と有機野菜の違い

オーガニック野菜は、概ね有機野菜と同義です。ただし、以前と現在では厳密な定義が微妙に異なっているのがポイント。以前は、生ゴミ堆肥や家畜の排せつ物などの有機肥料で栽培される野菜全般が「オーガニック野菜」と呼ばれていました。現在のオーガニック野菜の定義は「有機肥料を使い、なおかつ指定された農薬を使わない」というものへ変化し、結果的に有機野菜と同じ意味合いを持つようになったのです。

無農薬野菜と有機野菜の違い

有機野菜の栽培では、JAS認定の農薬であれば使用しても問題ないことになっています。対する無農薬栽培は、その名のとおり農薬を全く使用せず栽培する方法のことです。ただし、現状では無農薬であることを証明できる厳格な基準や規定がありません。実際には過去に使った農薬が土壌に残っていたり、近隣の畑から農薬が拡散したりすることも十分にありえます。厳格な基準や定義がない以上、「無農薬」と表記することは消費者に誤解を与えてしまいます。そこで「無農薬」に代わる表記として定められているのが「特別栽培農産物」という名称です。

農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「農産物が生産された地域の慣行レベルと比較し、節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下」という定義が定められています。つまり、有機肥料を除く農薬と化学肥料の使用を基準値以下に控えた野菜が、「特別栽培農産物」として認定されるのです。
参照元:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン

有機野菜が持つ魅力

通常栽培の野菜にはない魅力を持っている有機野菜。以下でその魅力をいくつかまとめてご紹介します。

健康面に配慮されている

有機野菜は、通常栽培の野菜と比べると化学物質の影響を受けていません。農薬や化学肥料が一概に有害だとは言い切れませんが、それでも人間の身体への影響を考えるとケミカルなものを取りこみ過ぎるのは避けたいものです。使用できる農薬・化学肥料が制限されている有機野菜は、化学物質を取り込むリスクが少なく安心感があります。

味が濃厚でおいしい

化学肥料や農薬を過剰に使うと、外見の成長スピードに旨味や栄養素が追い付かないことがあります。場合によっては、「見た目は立派だが風味は今ひとつ」という野菜が出来上がることもあるのです。対する有機栽培では、通常栽培の野菜と比べると人工的に成長を早められることがありません。これにより野菜は本来の成長スピードで育ち、濃厚な旨味をしっかりと蓄えます。結果的に、野菜本来のおいしさを味わえるのです。

地球環境にやさしい

化学肥料や農薬を使いすぎると、土壌が汚染されてしまいます。くわえて虫や虫を捕食する動物にまで危害が及び、生態系を破壊することにもなりかねません。化学肥料や農薬の使用が制限されている有機野菜であれば、地球環境に配慮できます。

栄養価が高い

有機野菜は、病気や害虫から身を守るため「フィトケミカル」と呼ばれる成分を生成します。フィトケミカルはリコピンやビタミンC、ポリフェノールなどの栄養素を含んでいるものが多いのが特徴。このフィトケミカルによって、有機野菜の栄養価がさらに高まることが期待できるのです。

有機野菜が持つ弱点

栄養価が高くおいしい有機野菜ですが、一方で弱点もあります。

見た目が整っていない

有機野菜は、化学肥料や農薬の使用を制限されて育ちます。そのため大きな凸凹があったり曲がっていたりと、一般の野菜より形が整っていません。虫食いがある場合もあります。しかし、それらは調理方法や切り方を工夫すれば気にならないことがほとんど。自然に近い環境で育った、有機野菜ならではの個性だと捉えると良いでしょう。

まだ身近な存在ではない

少しずつ注目されるようになってきたものの、有機野菜はまだまだ身近な存在ではありません。一般的な野菜と比べると流通が少なく、販売場所が限られていることがほとんどです。有機野菜を作る農家もまだ少なく、需要と供給のバランスが取れていないことから販売価格も高めに設定されています。農家によって野菜への取り組み方もそれぞれ異なります。有機野菜の定義は、有機JASによる規格条件を満たしている野菜のことです。規定条件を満たして野菜作りを行う農家、効率的で安定的な生産を重視する農家、有機JASが指定する農薬も一切使わない農家など様々です。

より正しい認識を持って野菜選びを

「有機野菜」「無農薬野菜」「オーガニック野菜」が少しずつ注目を集めている昨今。しかし、はっきりとした定義を知らないまま、曖昧なイメージで野菜を選んでいる方も多いのではないでしょうか。「何となく体によさそうだから」という理由で選ぶのではなく、それぞれの定義についてより正しい知識を持って選ぶことが大切です。

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